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飴と鞭と甘いワナ

第6章 HurryUp! episode 1


にのは車では来ていない

だとしたら、次の逃げ場所はタクシーか徒歩で向かうしかない

だったら、行ってみるか
ダメ元でタクシー乗り場に

運が良ければ捕まえられるはず
にのってまず全力疾走なんかしないし、近場でも歩くのを面倒がる奴だ

徒歩で移動するとは考えられない


何人か並んでいるタクシー乗り場

「あ…っ」
後少しで辿り着く直前、見慣れた猫背が
タクシーに乗り込む姿が目に入った

すぐに出発しないタクシーに、追い付くかと思った瞬間ゆっくりと動き出す

車内から、辺りを窺うように外を見るにのが視界に俺を捉えたと思ったら

俺とわざと視線を合わせ、思い切り「あっかんべー」をして見せた

その顔は完全に楽しんでいる

それこそ、この壮大な鬼ごっこの原因なんて忘れているかのような無邪気な顔

しかもスピードを上げた時には後ろ手でバイバイのおまけ付き


俺、遊ばれてんの?!


イラつきが益々込み上げてきたぞ
そっちがその気なら、俺だって負けてらんない

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