
飴と鞭と甘いワナ
第6章 HurryUp! episode 1
急いで駐車場に戻って車を出した俺は、タクシーの向かった方面にハンドルを切った
こっちに向かって走って行くとすれば
俺の意表をついて自宅に戻るか
…はたまた昔の遊び仲間がたむろってるショットバー
もしくは…【ツヴァイ】か
でも、あそこは地図も載せてないし、住所登録もしていない
そりゃ近所まで辿り着けば分かるんだろうけど、ここからだと大まかな住所もにのは知らないはず
でもなぁ
にのの行動力、半端ないからなぁ
…特にこういう状況になると、頭の回転早いしなぁ
あ、一応連絡入れとくか
にのがもし来たら、教えてもらえばいい
ポケットからスマホを取り出してメール送信
程なくして “任せろ“ の短い返信にホッとして、他に行きそうな場所を探しに向かった
30分程経った頃、「来たよ」の知らせ
よし!もう逃げられない
数時間の鬼ごっこはゲームオーバーだ
俺が勝ちだから、お前を滅茶苦茶にしてやるからな
“にのには絶対悟られないで“ と路肩に止めて返信し、先にあるコンビニでUターンした
