
飴と鞭と甘いワナ
第6章 HurryUp! episode 1
ルームミラーの中、段々遠ざかってく相葉さんの姿。
それを眺めながら後ろ手にバイバーイって手を振る。
表情までは映らないケド "くっそーっ!!" てジェスチャーしてるのが遠目に見えた。
ザマーミロ。
あぁ可笑しい。
何だろ…この…手のひらで転がしてやってる感。
楽しすぎる。
アイツもかなり躍起になってるから『ツヴァイ』に辿り着くのは案外早いかも。
先ずは俺が来たら『連絡くれ』って手当たり次第にメールをしまくるだろ…で、立駐から車出して……ま、俺を…って云うかタクシー追っかけてくるわな、セオリー通りだと。
"…あと2、3分で着きますよ"
控えめなドライバーの声に辺りを見渡す。
ゴチャゴチャとした昭和チックな繁華街。
「その先の…ポストんトコで…」
メーターの料金より少し上乗せした札に
"釣りは要らないから"
アイドルスマイルもプラスして。
歩道に下りて一人歩く。
温もりのない右側が寂しい。
「早く捕まえに来い……馬鹿野郎」
