
飴と鞭と甘いワナ
第7章 episode 2
邪魔にならない階段下の、ちょっとしたスペースに車を寄せて、エンジンを止める
ここにいないなら、何処に行ったと言うんだ
確か今日はピンの仕事があったはずだけど…
場所までは聞いてない
…てか、覚えてない
なんてうだうだ考えてる時に
しばらくしてから来た、ヒナの2度目のLINE
『二宮さん、中にいますよ』
…中?
だってさっき入った時、いなかったじゃん
それこそトイレからキッチンから、ビリヤード台の下も見たのに?
まさか目眩ましのLINE?
にのからの指示?上目遣いでお願いでもされた?
ついつい浮かぶにののしてやったりの顔
ん?
あれ、確か……
まだ行き始めの時に何か聞いたような?
“あそこ、配電盤の処がむちゃくちゃ広くて“
ー…広くて、何だっけ
“毛布とソファー持ち込んでんすよ“
頭の中に、まだ慣れてない様子のヒナが
ニカッと笑って言っている光景が描かれた
…もしかして、本当にまだ中にいる?
にのが楽屋を飛び出した後、これでもかと電話もメールもしまくってたのをわざと止めたのも
効果あるかも
