
飴と鞭と甘いワナ
第7章 episode 2
にのは寂しがりだ
俺からの連絡をピタリと止めれば不安に襲われるはず
そうなれば、本当にここにいるのなら
仕事に行くのも考えたら、もう出てくるだろう
車の中にいたら、その分がロスになる
またにのに逃げられる
そう思って、車から降りた俺は
死角になるゴミ捨て場に身を隠す事にした
ー…何でこんな事してんだろ
ちょっと冷静になると、今の自分がバカみたいだ
売り言葉に買い言葉
ほんの些細なすれ違い
それなのに皆を巻き込んで、こんな鬼ごっこまがいの事をしでかして
だけどここでにのを掴まえておかないと
修復は難しくなる気がする
どのくらい待ってたのか、無心になっていて気付かなかった
足に疲れを感じて、少し体を動かそうかと何気無く階段を見上げてたら
ゆっくりとドアが開かれたのが目に入った
ー…にのだ!
周りをキョロキョロしながら、ちょっと挙動不審な動きをして
階段を降りる途中で足を止める
ー…俺の車に気付いたんだ
まぁ、気付くよな
派手な色だし
少し屈んで、運転席を確認している
何だよ
まだ逃げるつもりなわけ?
