
飴と鞭と甘いワナ
第7章 episode 2
でも、もう逃がさないよ?
見つからないように隠れながら、にのの様子を見守る
階段を降りて、ちょうど俺から背を向けたのを見計らって
「…見ぃつけた」
鬼ごっこは、これで終わり
「……っ!!」
にのが面白いくらいにビクッと体を揺らす
走り出すより先に、その体を後ろから抱き締めれば
諦めたかのように、にのはおとなしくなった
「仕事でしょ?…乗って」
お願いしているようで、抱き締めた腕は離さない
そのまま押し込めるように助手席に乗せたから
端から見たら拉致ってるように見えなくもないけど、そんなのはお構い無しだ
「ちょ…っ」
にのの言葉を遮るように、さっさとベルトを止める
そしてドアを閉めると、急いで俺も運転席に回った
「今日は、にのに付いてくから」
「は?」
「お前のマネージャーには、もう伝えてあるから来ないよ」
“今日は俺がマネージャー代わり“
にやり、とにのを見れば
目を丸くして俺を凝視しているにのがそこにいて
「…もう、逃がさないからね」
わざと耳許に唇を寄せて、囁いてみたら
にのが真っ赤になった
