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飴と鞭と甘いワナ

第7章 episode 2



今にも膝から崩れ堕ちてしまいそう。

無論そうなるのはオトコの矜持としては避けたいトコ。

それにこれ以上 好きにされちゃこの数時間後には足腰まで立たなくなるのは目に見えてる。

キツく抱き込まれてしまう前に肩を押し退け 距離を取る。

ガクガクする膝にチカラを入れてどうにか踏ん張るけど、後退った背中に早くもヒヤリと冷たい壁の感触。

こうもあっさり逃げ場を阻まれるなんて…あぁ終わったか?…と思いきや濡れた口唇を親指で拭った相葉さんはそのまま 俺のバッグと自分のを肩に引っ掛けた。

ドアの前で肩越しに俺を見遣ると

「……来い」

地を這うような低い声で命じた。

目も合わせてくれなくて。

向けられた威圧感に従うしかなくて。

タレントクロークの長い廊下を並んで歩く。

腰に回された手が逃さないって主張ってる

この後 仕事は無いし、明日も夕方からの収録。

時間はタップリ用意されてるこのヤバい状況。

どうにかして逃げらンないかと算段してると

「雅紀!」

廊下の先から聞き慣れた声がした。

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