
飴と鞭と甘いワナ
第7章 episode 2
「この部屋に誰を引き入れたの?」
俺の胸に額を押し付けた相葉さんの肩がピクと動いた。
「ねぇ…どの後輩?それとも芸人?誰を抱いた?……あ、それとも抱かれた?」
目には目を 歯には歯を…同害報復ってヤツだっけか。
今更 そんなコト蒸し返しても どうなるモンでもないのに。
"疚しいコトがあるなら俺から聞いてやるよ"
そんなくだらないご都合主義…違う、そうじゃない…ヤラれたら嫌な仕返しをする嫌な性分なんだ、俺って野郎は。
何を求めてンだろう。
何に腹立ててた?
俺が欲しい答えは何?
そうだ……俺が欲しいのは何?
誰に聞くまでも 問うまでもなく。
答えは一つ。
だから声にする。
「雅紀……アンタが欲しい…俺にくれよ…アンタの全部を」
四の五の言わず、俺を抱き潰して。
肌を重ねて、雌雄繋げて、吐くだけ吐いて。
それでプラマイゼロだ。
たった今からまたスタートすりゃいいじゃん。
愛欲も 嫉妬も 疑念も 枯渇も…全部全部ぶち壊し、綯い交ぜにして…今を構築し直そ?
