
飴と鞭と甘いワナ
第7章 episode 2
夢現の意識の向こうの何処かでスマホがバイブってる。
手を伸ばしても届かなくて。
隣でガサガサ身動ぐのは相葉さんだろう。
俺のじゃないンだ…だったら オマエが動け。
俺を好き放題にしやがって。
ま、暗黙の了承した俺も俺だけど……いいや、まーくんが悪い…こんな指先1ミリたりとも動かせくしたンだかんな。
「…もしもし」
あ、やっぱコイツのスマホか…LINEじゃなく…直に?相手は…誰?
覚醒した意識を耳に集めて…寝たフリ。
「こんな時間にどーした?」
出た!お人好し発言。
ライターを擦る音と…フーッと煙を吐いて…ん?この匂い、俺のタバコだろ。
「えっ?今から?」
うわ…何処の何方かは存じませんが…お誘いッスか?
最近のパターンじゃ
"ゴメン"
謝られた挙げ句、置いてけぼりなんだよな、俺が。
…………………えっ?
不意に俺の髪を掬う手。
「…ゴメン」
ほら…ね?
「行かないよ」
え?
「もう…こう云う誘い…」
"…乗らないから"
その言葉に身体が 心が 真底震えた。
