
飴と鞭と甘いワナ
第7章 episode 2
しばらくして聞こえてきたのはちょっと長めの深呼吸。
「何が大切で 何が必要か…」
まーくん?
「言わなくても通じるなんて思ってたら…伝わらなくなってた」
見上げれば相葉さんの頬に伝う涙一滴。
「カズ…ゴメン。オマエを蔑(ないがし)ろにして…」
"…ゴメン"
そう言って項垂れた。
蔑ろにしてたのは俺も同罪だろ?
「以心伝心…なんて恋愛に於ては…怠慢以外の何物でもないよね…」
安っぽい ありがちな三文台詞的なコト、言いながら
"…ゴメン"
謝り続ける口唇を
"もういい"
キスで塞げば
「なんか"らしく"ないよ…天の邪鬼ニノ」
泣き笑いする。
「はぁ?何 その言い草」
ちょっと拗ねて。
彼の両頬をギュッと引っ張った。
「イヒャい…ニノひゃん」
「巫山戯た事、言・う・か・ら・だ」
潤む黒目に自分だけが映ってるのが嬉しいなんて…俺も終わってンな。
