テキストサイズ

飴と鞭と甘いワナ

第9章 1匙め


「もう…!…あ、そうそうあのね?」

コロッと話が切り替わる
これも彼女の癖

「和くん、家事は分担って言ってたでしょ?」

「え、うん」
ー…お前が仕事捜してからね

「和くん料理苦手だからさ、これ申し込んだから」



「……は?」

ニコニコと、満面の笑みで1枚のチラシを俺に渡す

それを受け取り、パッと目についた大きな文字を見て


「…どういう事?」
チラシと、彼女の顔を交互に見やった


「だから料理教室!和くんの為に申し込んだんだからね」

何が悪いんだと言わんばかりのドヤ顔

だからそんな事よりも、優先させる事があるんだけど

そもそもお前が働かなきゃ家事は分担なんかしたくない


「何勝手な事してんだよ」

イラッとした
…何で俺にばっかり求めるんだよ


「どうせ通わなきゃ、上達なんかしないでしょ?
…それに、男性のみだから恥ずかしくないし」

「俺のどこにそんな暇…っ」
「19時からだから、仕事帰りに通えるね」

ダメだ
話にならない

ってか、話をするのも馬鹿馬鹿しい


言うだけ言って、向こうへ行った彼女

ー…なんかもう、疲れた



ストーリーメニュー

TOPTOPへ