
飴と鞭と甘いワナ
第10章 2匙め
A side
『本日のパスタです』
目の前に滑るように置かれた皿に綺麗な盛られた海鮮パスタ。
この店に来れば迷わず選ぶ定番の一皿。
「アナタっていっつもそれね」
呆れた溜め息と言い方に何処と無く引っ掛かりを感じながらも
「いいだろ」
目も合わさずにフォークを手にした。
オトコっては意外に変化は求めてないンだよ、浪漫は求めても。
オンナは恐らく真逆なんだろうな。
パスタをフォークに絡めながらそんなコトをツラツラ考えてるうちに、ふと思い出したのは料理教室のコト。
チラシに書かれてたケー番に掛ければ
『……誰?』
いきなりぶっきらぼうでドスの利いた声が耳を直撃した。
「あの…」
『…あ、もしかして申し込み?それならそうと…』
"…さっさと言えよ"
覇気のなさと怪しさ120%の人としてどうよ?的な物言い。
面倒なヤツには関わらないに限る…切ろうとした途端
『…明後日19時から…あーエプロンと…三角巾な、三角巾…分かる?』
分かるケド…これってもう参加決定ってコト?…マジで?
