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飴と鞭と甘いワナ

第10章 2匙め


N side

最初は人懐っこい感じで話しやすいと思ったけど

一緒に作業するようになってからすぐに、それは上辺だったんだと気が付いた

俺も正直べらべら喋る方じゃないから
雰囲気を悪くしたくなくて、これでもかなり気を使ったのに

相葉さんは自分から全然話そうとしないし

俺が話しかけても返ってくるのは “文章“ にもならない “単語“ ばかりで


ー…回数を重ねていくうちに打ち解けて作業しやすくなるかと思ったけど

むしろ会話はなくなる一方で


他のテーブルは和気藹々としてるのに
俺と相葉さんのテーブルだけは笑い声どころか、
寒々とした空気に覆われていて



「どう?分からないとこある?」
講師の大野さんが、ふにゃんと笑いながらテーブルに来てくれる時間が待ち遠しくなる

さほど年齢の変わらない彼とは話しやすくて

…相葉さんも変わらないけど、雰囲気が180度違ってぽんぽん会話を引き出してくれるのが、息抜きにもなってたんだ


だけど
さすがに俺だって疲れてくる


何で俺がこんなに気を遣う必要があるんだ?

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