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飴と鞭と甘いワナ

第10章 2匙め


「あ、相葉と言います」

「…二宮です」

童顔な見た目から想像してたより低い声。

思ってたより歳食ってるのかもな。

初見はそんな感じ。

俺は基本 余計なコトは言わない。

もちろん聞かれたコトには応えるケド。

今までもそう云うスタンスできたから。

でもまあとりあえず"初めまして"は愛想良くしたりするンだけど…化けの皮は意外と脆くて。

二宮さんとのやり取りが単語調なのも俺のそんな性分なせい。

だから

「あの…」

か細い声にそっちを見れば眉根を寄せる二宮さんに

「俺、アナタに何かしました?」

唐突にそう睨まれる謂れがなくて。

あれはアクアパッツァなんて小洒落たレシピの…えーと何回めの講習だったっけか。

普段は市販のルーやらカット野菜をフルに使う『The男子飯』メニューなクセにいきなりそんな難易度の高いメニュー…横暴だろ?と思いながらも難しい魚の下処理が済まされてるのを見ればちゃんと俺らの技量は分かってるらしい。

オリーブオイルとトマトでクツクツ煮込まれた魚介の良い匂い。

"美味そう"
鼻をヒクつかせた矢先に二宮さんに睨まれたんだ…『何かしましたか?』って。

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