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飴と鞭と甘いワナ

第10章 2匙め


だって “気分転換“ “息抜き“ のつもりで参加したのに、そこでまで嫌な気分にはなりたくなかったんだもん


「ごめん」
そしたら、相葉さんは素直に謝ってきて

今度は俺がぽかーんとしてしまった


「俺、そんなつもり全くなかった
…嫌な思い、させたんならごめん」
なんて言われたら

「ならいいです。…俺も言い過ぎました、すみません」
としか、返せなくて

「俺、元々こんなんなんだ。誤解するよね、こんな無愛想じゃ」

少し苦笑しながら言った相葉さんの顔に、嘘は見えなかった




一応誤解は溶けた中、悪くはないけど微妙な空気の中

半ば無意識に手を動かして作業して作った
煮込まれた “アクアパッツァ“

香る匂いに今更ながらハッとした

他に意識が回ってて気付いてなかった


……俺、魚介ダメだった


隣では「旨そう」ってクンクンしてる相葉さん

二人分より若干多く出来たそれに

さっきまでの怒りを隅に放り投げ、相葉さんのエプロンをくいっと引いた

「え、なに?」

「あの……」
さっきの経緯があるから、かなり恥ずかしい

でも言わないとどうしようもない

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