
飴と鞭と甘いワナ
第10章 2匙め
“ん?“ と首を傾げてこちらを見てる相葉さんに
小さな声で
「すいません…俺、魚介全くダメなんです。これ、食べれない…」
作った者同士、試食して、話し合って、感想を書かなければいけないのに
アレルギーとかじゃないから、克服しなきゃいけないんだろうけど、正直するつもりもない
「あ、そう?いいよ、俺が全部食うから」
「え?」
「このくらい、楽勝」
「…すいません」
何だかお互いで謝ってばっかりな感じ
「その代わり……」
相葉さんが紙を差し出した
「感想は、俺が伝えた事二宮さんが書いて」
“俺、書くの嫌い“
そう言って自分の用紙を俺に受け取らせるから
「分かりました」
まだ少し顔が赤いまま、頷いてみせた
誤解が溶けたとは言え、いきなり急に仲良くなるなんて事もなく
変わらず和気藹々としてる他のテーブルを横目に
完成間近の鍋を、お互い何となく頬杖をついて眺めていた
「お、相葉ちゃんたちはいい感じに出来たじゃん」
大野さんが小皿を持ってニコニコとテーブルに近付いてきた
