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飴と鞭と甘いワナ

第10章 2匙め



俺の腹の中を探り兼ねたのか、"それなら…"と色目を使ってスリと身体をすり寄せる彼女の小賢しさにカチンとくる。

ついさっきまで電話相手に媚びの安売りしてたンじゃねぇの?

突っ込む気にもならないケド。

ジリジリ迫る鬱陶しいオンナ…最早 "彼女"ってレッテルじゃなく…をどう回避しようか頭の中であれこれ算段し出した矢先にスマホが着信を告げた。

『二宮和也』

登録したての名前が表示されてる。

"何かあったら電話して"

そう言った自分の声が頭ン中でリフレインしてる。

まさか!?

何かあった?
何があった?

オンナを突き飛ばす勢いで画面をタップして

「もしもし?」

「……………」

受話口から車の音やら雑音が聞こえてくるから切れてないはず。

「もしもーし」

一息吐いて 出来るだけソフトに

「どしたの?」

『……相葉さん』

やっと聞こえた声は二宮さん、その人で。

「何処に居る?」

黙りな二宮さんの後ろから改造バイクの五月蝿い音。

あれ?窓の方からおんなじ爆音……

もしかして このマンションの下?

何で?

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