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飴と鞭と甘いワナ

第10章 2匙め


だけど “用事がある“ って帰ったんだからここにいない可能性は高い

そんな簡単な事に気付いたのもついさっき


…ってかさ、俺はここに来てどうしたかったんだろう
何をしようとしたんだろう


相葉さんは多分彼女と一緒にいる
それを邪魔しようと思った訳じゃない

だけど

“用がなくても電話して“ なんて言ってくれたあの言葉がずっと頭に残ってて

ムシャクシャしたこの気持ちを聞いて貰いたかったってのが
…断られた後も燻ってたんだと思う


電話だけでも掛けてしまおうか

取り込み中なら、ふざけて掛けたフリして切ればいい

重くならなければ、相葉さんも笑って済ませてくれるだろう



新規登録した画面を開いて
後は “電話を掛ける“ をタップするだけ

…なのにやっぱりそれを押すのは憚れてしまう
そりゃそうだよね

だってマンションまで来ちゃうなんて
俺、ストーカーかよ

相葉さんだってさすがに気持ち悪いと思うだろ
“マンションの前にいる“ なんて言われたら




ウダウダ考えてたら、急に頭の中が冷えてきて
今の自分が凄く恥ずかしくなった


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