テキストサイズ

飴と鞭と甘いワナ

第2章 scene Ⅱ



ようやくシャンプーが始まって。
ニノの指が髪と泡とを絡めて丁寧に洗ってくれる。

俺が女の子だったらこのソフトタッチの段階で落ちる……や、女の子じゃなくても即落ちだ、うん。

……じゃなくて。

独り言ちながら薄っすら目を開けてニノを盗み見する。

相変わらずスタイリッシュ。

俺もニノにコーディネートして貰った一揃え、着てきたけど。

何だろ、この今一つ冴えない感じ。

手ぶらじゃ何となく諂(へつら)ってるみたいだからって渡した缶コーヒーとマンガも今となっちゃセンスの悪さと安っぽさだけが目について。

何やってもダサいし、締まりない。

急に居た堪れなくなって。
でも今更逃げらんなくて。

唯々、目をギュッと瞑ってるしかなかった。





……………目を閉じて。





フッと意識が途切れそうになった、その時、
"女にフラれたろ"
ニノがいきなり直球打(ぶ)っ込んできやがった。

眠気も心地好さもあったもんじゃない。

さっき浴びせられた冷水シャワーの比じゃないほどの冷や汗が背中を伝ってった。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ