
飴と鞭と甘いワナ
第2章 scene Ⅱ
今まで何回も切って来た雅紀の髪。
その手触りすら、今日は愛おしく感じるのは何でかな。
…この髪に触れるのは俺だけにしたい。
目を閉じて、気持ち良さそうに身を任せるのは
俺の前でだけにしたい。
コイツが手土産って持ってきた缶コーヒーと漫画だって、…バカじゃねーの?なんて言ってみたけど
…どこか嬉しく思う自分がいて。
…参ったなぁ
俺もとうとうソッチの仲間入りしちゃう?
いやでも、やっぱり女の子がいいのに変わりはないし
他の男とさっきのアレ…を何て考えただけで吐き気がする。
…やっぱりコイツ限定ってやつか。
でも
「俺もお前が好きになってました」なんて
悔しいから当分は言わないし見せない。
今日の事は、ただの事故。…そう思わせる。
だってさ
まだまだコイツで遊びたいし、からかいたいし?
思わせ振りな態度で振り回すのも、楽しそうだし?
だからね
しばらくはお預け。
もうしばらくは、俺を楽しませて貰うよ。
でもね
心の中だけでは言ってあげる
ー…雅紀、好きだよ。
