
飴と鞭と甘いワナ
第3章 scene Ⅲ
A side
一方的に欲を吐かされた。
*
"スッキリした?"
なんてシレッとあからさまな事言わないでよ。
メンデリのにーちゃんじゃないんだから。
汚したタオルが
"使用済みBOX"
に放り込まれて。
淡々とされるがままの後始末。
流れ作業の一部みたい。
遣る瀬無い、立つ瀬が無い。
"こっち"
って軽い手招き。
ホント…まるで何も無かった、そんな見事な接客っぷりで髪乾かしてくれるニノ。
何度か鏡越しに目が合いそうになるから俯いて回避して。
無性に居た堪れなくなるのは何でかな?
俺が悪いの?
…なんてグルグル自問自答の繰り返し。
……結論、
今日のコトは
単なるアクシデント。
ほら、ありがちじゃん
"犬に噛みつかれた"とか
"石に蹴躓いた"とか。
ニノにとっては軽ーいお遊びの一環。
俺の相手なんか所詮はゲーム。
クエスト攻略するみたいなノリ。
うん…きっと そう。
でも、俺は……
どーしよ。
ますます好きになってる、
ニノのコト。
