
飴と鞭と甘いワナ
第3章 scene Ⅲ
ボンヤリしたまま。
気づけば
"またね"
って可愛いウィンクのニノに店の裏手へポイッて放置。
ゴミじゃないって。
ヤケにスッキリしてる髪と下半身。
そのど真ん中、胸の辺りに燻ってるモヤモヤ。
情けないのか、悔しいのか。
色んなもんが俺ん中でグッチャグチャ。
溜め息と一緒に寄っ掛かった裏口のドア。
タバコを摘まんだ指先がまだ震えてる。
夜風に揺れる100円ライターのチープな火。
吹かした紫煙を目で追っかけて。
………動けない。
ニノに触れられた其処彼処が熱くて…ただ熱くて。
噛まれた耳朶。
柔らかい口唇。
残像みたいなキスの触感。
俺の脳内再現率100%越え!?
ヤバい!
こんなトコでおっ勃ててる場合じゃないって!!
………帰ろ。
見込みない恋は諦めが肝心。
でもさ、一方的にヤラれっ放しってのも男が廃る。
せめてリベンジしたい。
絶対リベンジしてやる!!
それから……
"もう会わない"
………って言えるかな?
