
飴と鞭と甘いワナ
第3章 scene Ⅲ
とは言え
ウダウダするのも性に合わない。
少しだけアルコールの助けもあるけど
勢いのまま、雅紀にコールした。
『ニノ…?』
2回鳴るか鳴らないかで直ぐに繋がった。
“はい“ でも “もしもし“ でもなく、いきなり名前を呼ばれて
何故かドキッとする。
『どうしたの?…こんな時間に』
え?と壁掛けの時計を見たら
23時半…
「あ、ごめん…寝てた?」
素直に謝ってみる。
『いや、大丈夫。…起きてたし』
「なら良かった」
スマホの向こうで、ちょっと笑った気配がした。
『で、どうしたの?ニノから電話なんて珍しい』
“…嵐でも来るんじゃない?“
そう言って、本当にクフクフ笑う。
「誰のせいだよ」
『え?』
「お前が、リベンジするっつーから待ってやってるのになかなか来ないから
…わざわざ掛けたんだろうが」
ー…完全な八つ当たり
雅紀は単なるとばっちり。
『え、ちょっと待ってよ!
…俺、週末で考えてたんだけど』
…ごもっとも。
