
飴と鞭と甘いワナ
第3章 scene Ⅲ
雅紀からは、その後連絡が来ない。
リベンジするっつーから、いつでも受けて立てるようにしてやってるのに。
宣言してから3日
…って、まだたった3日だよ
俺、何をそんなにそわそわしてんだよ。
ガラスのテーブルの上に置かれた
鳴らないスマホ。
仕事中も、ずっとポケットに入れていた。
鳴りもしないくせに、手が空いてはチェックして
小さく溜め息付いて。
その度に
“幸せが逃げる“ って言葉を思い出して。
「あーっもう!」
思わず口に出してしまった。
何で俺が、雅紀の事ばっか考えなきゃいけないんだよ
そりゃね、確かに好きになってるよ?
なってるけど、先に惚れたのはアイツの方で。
だけど、なかなかそれを見せようとしないのがムカついて。
いつも、俺と会うとどこか引いていて。
スマホの横に置いていた缶ビールを開けて、そのまま煽る。
確かに大野さんの言う通りかもしれない
俺、何かおかしいかも
