
飴と鞭と甘いワナ
第3章 scene Ⅲ
店のワインセラーを勝手に漁ってたニノの背中をがピクンと反応した。
肩越しに俺の方をチラ見る目は
"どーされたい?"
何その返し!?
そんなの応えられるワケない。
ニノはあくまでノンケの域、脱してないし。
なのに…デートに誘うし。
突っ込ませろってせがんだり。
とっ散らかった頭の中が整理しきれない。
グルグルグルグルしてたら
「いい加減、下履けよ」
突然のツッコミ。
"まだ襲われ足ンない?"
茶化され、急かされ、慌ててパンツを引き上げる。
クスクス微笑うニノ。
ぁれ?
俺が困ってるの分かってくれた…とか?
「雅紀…」
ワインを諦めたニノが投げてきたのは冷えた缶ビール。
鼻利くなぁ…後で信ちゃんにビールのコト、メールしよ…なんて考えてたら
「また、俺じゃないコト考えてる」
憮然とした顔。
「ビール飲んだってメールしなきゃって考えてたの」
「"すばるくん"に?」
まだソコに引っ掛かるの?
もう何か面倒いから
"そうだよ"
そう返しておく。
信ちゃんの名前まで出したら…あとが怖い。
