
culb Colors
第1章 【cast1】ミク
真央と星司を見送って、また泣きそうになっている俺を、誰かが後ろから抱きしめた。
「…店長?」
「ヨシヨシ。バカだなー、ミクは」
俺のガチガチにセットしてある頭をわしゃわしゃ撫でながら、店長が言った。
「たっくさん自分のこと好きって言ってくれる人がいるのに、敢えて報われない人好きになっちゃってサ」
(…本当だよな。バカだなー)
「あ、ミクと店長がデキてるっ!?」
店長の腕の中でしんみりしていると、ガヤガヤ男のルイが抱き合う俺達に気づいて声を上げた。
残っていた客や、他のキャストも一斉にこっちを見てワイワイ騒ぎ出す。
「やめてよー、俺はB専だよー?イケメンに興味ないカラー」
ケラケラ笑いながら店長は裏に消えた。
「ミクさんフラれちゃいましたね!俺はミクさん好きっすよ!」
近くにいた後輩が叫ぶ。
店内はまた笑いが起きる。
「うるせー!」
俺も笑ってそう叫んだ。
「ミクがグレたーっ!」
今度はルイが笑いながら叫ぶ。
