君と僕の超短編集
第34章 34
なごり雪
暖かい日が続いてもう春かなって
そう思ってたのに
突然の雪
あの日と同じだね
舞い散る雪に君の面影をみる
手のひらにのせれば消えてゆく
消えないで
翔ちゃん
突然いなくなってしまったあの日
ずっと待ってるんだよ
あれからずっと…
早く帰ってきてよ
探し続けて六年
写真の君は笑ってる
その笑顔
俺にみせてよ
『智…』
呼んでよ…
今日は鎮魂の日
眼下に広がる海に叫ぶんだ
「翔ちゃーーーーん」
キラキラと波間が耀いた
『智くん…』
翔ちゃんの声が聴こえた
おわり