
虞犯少年
第24章 見えないはずが見えたのさ
「明日香の友達だとか、それ以前に俺はお前なんかに興味ない」
「っ…」
「それに今は明日香の何でもねぇんだろ?
だったら尚更お前に価値はねぇ」
「…それでも…っ好き、なの」
「うるせー。さっさと失せろや」
「なんでっ!!…なんで私じゃダメなのよっ」
悲痛な叫びが教室に響いた。
そして、嵐の非道な声もよく響く。
こんなに好きなのに、どうして…
美帆の声にならない気持ちがひしひしと伝わってくる。
「お前が明日香じゃないからだ」
なんの躊躇も戸惑いもない。
それが"当たり前"なんだと言いのけてしまうだろう。
嵐の世界の狭さを目の当たりにした瞬間。
見えないはずが見えたのさ
(見たくもないものまで全部。)
