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虞犯少年

第25章 最初から最後まで




「あぁ」



こんなに落ち着いた声なのに、私の心を乱すには十分すぎるたった一言。

悲しみ。憎しみ。怒り。

黒く汚い感情がジワジワと蝕む。



「あの女が俺に好意あんのは知ってた。明日香の友達に興味ないっつったら簡単にお前切って、それで俺が手に入るとでも思ってたんだろ」


「な、にそれ」


「計算したつもりはねぇけど、上手くいけばいいとは思ってた」


「…っなんで」


「こうなれば俺だけになんだろ?な、同じだ」



屈託のない笑顔に身震いがする。

今、考えれば嵐が知らないなんて事ありえなかった。

私の事を嵐が知らないなんて絶対にない。

目が覚めてももう遅かった。

事態はすでに悪化する一方。


嵐は自分で手を出した訳ではない。けど結果的に嵐が描いたものになった。

美帆の気持ちを利用して、私から奪った。

これで私と嵐は"同じ"。

お互いがお互いしか必要ではない。

それを望んだ筈なのに涙と一緒に込み上げてくるものが止めどなく溢れ出す。


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