
虞犯少年
第26章 心臓と酸素の関係性
……嵐と会いたくない。
私は制服に着替え支度をして家を早足で出た。
もしかしたら外に嵐がいるかもしれない。
周りをキョロキョロ見渡しながらあの影を探してみたけど、その人物の姿はなかった。
ホッと胸を撫で下ろし冷たい風を肌に感じながら重たい足取りで向かう。
いつもは遅刻ギリギリにも関わらず今日はまだ教室には私しかいなかった。
まぁ、この時間じゃ当たり前か…
本当は学校なんか来たくない。私にとって苦痛でしかない場所。だけど家に閉じこもっていられる訳でもないし、嵐は何をするか分からない。無理矢理にでも嵐は私をどうにかする。多分…いいや、絶対。
机の下で握った拳は皮膚に爪が食い込むくらい強い。徐々に騒がしくなる学校。私だけがここで独りぼっち。
刻々と過ぎていく時間の中で、いつ嵐が現れるのか私はただ不安でしかなかった。
休み時間。昼休み。いつもならとっくに顔を出してくる。なのに嵐は私の前に現れない。
解放…された?
私は、嵐から。必要じゃなくなった?
それは嬉しい事なのに、どうして
……寂しいなんて思うの。
自分の感情を上手くコントロール出来ない。
嵐と出会ってからいつだって乱されぱなしだ。
苦しい。苦しい。切ない。誰か助けて。
