
虞犯少年
第26章 心臓と酸素の関係性
「あーすかちゃん」
「……っだ、れ」
それは一人で帰ってる途中に起きた出来事だった。
トントンと肩を叩かれて振り返ったそこには私の知らない人。
ニヤリ、嫌な笑み。
それと一緒に嫌な予感が胸をざわめかす。
「九条嵐の女だよね?酷い事されたくなかったら俺の言うこと聞いてくんない?」
有無を言わさない。まるで嵐と一緒。
馴れ馴れしく名前を呼ばれ、肩や腕を触る。
嫌悪感と恐怖に吐き気がした。
呆然としてる私の耳元で囁く声に身の危険を感じる。
「――ね、可愛がってあげるからさ」
…この人は危ない。
夕日で赤く染まる姿は狂気染みていた。
心臓と酸素の関係性
(どうしよう、息が上手く吸えません。)
