
虞犯少年
第27章 鼓膜が裂けるコミュニケーション
「明日香ちゃんを殴ったっつったらすごい剣幕で『明日香に手ぇ出すな』だってさ。ほんと愛されてんねー」
「…嘘」
「やっぱ明日香ちゃんを拉致って正解だ」
「っこんなの…卑怯じゃない!!」
「卑怯?っは、笑わせんなや。俺は九条さえぶっ潰せりゃいい。あんたはアイツの弱味だ。その弱味に漬け込んで何が悪い?」
くるくると私の髪の毛を指に絡ませて遊ぶ。
その手を振り払ったら、わざとらしくヒューっと真碕は口笛を鳴らした。
私は嵐の弱味だった。
私のせいで嵐が傷つく。
そうなるのもあともう少し。時間の問題でしかない。
目の前がグニャグニャに揺れる。
歪な世界は真っ暗に塗りつぶされた。
鼓膜が裂けるコミュニケーション
(どうぞ、ご自由に争って。)
