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虞犯少年

第12章 閉ざされし場所



壊れかけていたことなんて知っていた。

見てみぬフリをして目を逸らす。

壊れてしまうのが怖かった。

帰る場所がなくなるのが怖かった。

"家族"ってなに?

疑問がぐるぐると廻る。


真っ暗な家。机の上にはお金。誰もいない。私しかいない。


確か、今日は3人で出掛けるって言ってたような…


事前に買っておいたお弁当を温めて食べる。大好きなスパゲティなのに何も美味しくない。半分も残ってしまったソレはゴミ箱に。私は自分の部屋へと行く。


一人ぼっちの部屋は嵐の隣に居る時よりも苦しくて息が詰まる。涙がこぼれそうになるのをぐっと奥歯を噛み締めて目をゴシゴシと強くこすればその痛みでぽろぽろと涙がこぼれた。


痛い。痛い。目が痛い。心が痛い。


痛みに鈍くなることはなくて、どんなに寂しさに襲われてもただひたすら我慢をすれば朝はやってくる。そしたら学校に行って、みんながいて、美帆がいて、あとは嵐がずっとそばにいる。だから大丈夫。こんな寂しさはすぐ消える。

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