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虞犯少年

第12章 閉ざされし場所



真っ暗な部屋で小さく縮こまりながら膝を抱えてテレビを見る。

うるさいくらい音を大きくしてピカピカ光る画面に吸い込まれるよう見つめた。

テレビの内容はイマイチ分からない。それでも"音"があるだけマシだ。


いつからこうなったの?
どうすればよかったの?


涙でかすむ先にはただ暗闇しかなくて、また寂しくなった。


私だって本当はもっとちゃんとした"家族"になりたいよ…


私だけ仲間外れにされた気分で、私だけが"家族"じゃないみたいで居場所がない。


両親は離婚をして私はお母さんについていくことになった。そして数年前に再婚。新しいお父さんにも私の二個下の娘、瑠璃がいて家族4人の新しい生活が始まった。

だけど私だけ家族の輪の中に上手く馴染むことが出来ず、気付いたら自分から一歩線を引く癖が身についていた。

瑠璃は私のことがあまり好きじゃないみたいだし、私も瑠璃のことが苦手。

だからこれでいいのかもしれない。お母さんは幸せそうに笑ってる。

一人で食べるご飯ほど美味しくない物はないけれど、間違ってないのかもしれない。

私がワガママを言わなければいいんだ。


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