
虞犯少年
第13章 夢が終わる時
ピーンポーン
そんなチャイムすら鳴ったのか、鳴らなかったのかよく分からなかった。
ただ目の前には嵐がいて
伸びてきた手に私も手を重ねる。
「明日香、来い」
引っ張られた強い手が私をどこにでも逃がしてくれる気がして、その手にすがりついてみたくなる。だけど分かってる。私に自由はないってことくらい。それでもいい。今は早くここから私を連れ出して。
家の前にはいかついバイク
初めて見る嵐のバイクは思ってた以上に嵐によく似合っていた。
私を後ろには乗せたくないと言ってた筈の嵐は「乗れ」と、どうやら今回だけは特別に私を乗せてくれるらしい。
怖いと思ってたバイクがこんなにも風がきもちいいものとは知らなかった。
ほんの少しだけ、スッキリした気分になる。涙は不思議と止まっていた。寂しさもいつの間にか消えている。
「俺がお前を必要としてる。俺以上に明日香を愛してる奴なんかいねーよ」
