
虞犯少年
第13章 夢が終わる時
――私の存在意義がここにはある。
誰よりも何よりもアイシテル
まるで呪文のように繰り返される言葉を子守歌にしながら、泣き疲れてすぐに寝てしまった私をずっと抱き締めてくれる腕が起きた時も離れてることはない。
嵐の似合わない優しさ。最低な奴なのに、本能のままにしか動かない、そんな人間なのに思ってた以上に弱ってる自分にはその優しさが嬉しくて。
だから知る由もない。
私が底なし沼にハマっていくことなんて。
一度そこに足をつけたらもう戻れない。
「今日は制服着んな」
「……なんで?」
「いいから、これ着ろ」
この前買ってもらった新しい服を渡され有無を言わさないその態度に私は渋々着替えた。
「行くぞ」
場所は分からない。どこに行こうとしてるのか言ってくれないから分かる訳がない。
バイクにはやっぱりあの一回だけしか乗せてくれなくて、今は電車に揺られながらどこへ向かっているのか…
それはともかく、隣にいる嵐と電車なんて変な組み合わせ。新鮮味があっていいけどバイクがやっぱ一番似合ってる。
