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虞犯少年

第13章 夢が終わる時



「……ムカつく。可愛い」



こんな風に可愛いと言ってくれる物好きはどこを探したって嵐くらいだろう。案の定機嫌が良くなった嵐。後頭部をおさえられ人の目なんか気にせずにキスをされた。私がここで拒否をすればさっき以上に機嫌が悪くなる。受け入れるしかない。


ジェットコースター。コーヒーカップ。お化け屋敷。何年ぶりに来たのかさえ分からない遊園地は思ってた以上に楽しいもので。


お化け屋敷に関しては驚かせようとしてくるお化けに嵐が睨みを効かせる事で逆にお化けのほうが驚いていたから笑える。



「っはは」


「笑いすぎ」


「だって…」



嵐の前でこんなに笑ったのは初めて

嵐の瞳が愛しそうなものを見つめるような、綺麗な色をしていた。言葉が出ない。モヤモヤしたものが回る。


…調子が狂う。こんなの嵐じゃない。嵐はもっと最低な人間でしょ?なのになんで今日に限ってこんなに優しすぎるの…


こんなふうにされたら分からなくなりそうで怖い。嫌だ。優しくしないで。私は嵐なんか好きじゃない。

くしゃくしゃと頭を撫でる手が腰に回る。ぐっと近付いた距離。耳元で低い声が甘く囁いた。




「今日は抱かせろ」


昨日は我慢したんだぞと言わんばかりに傲慢で俺様な嵐は、さっきまでとは違う色っぽくて妖しい顔をしていた。








夢が終わる時

(とびきり甘く儚い夢を見よう。)



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