
虞犯少年
第13章 夢が終わる時
手を繋ながら歩いた先に見えたのは平日だというのに賑やかな遊園地だった。
「なんで…遊園地?」
いつも嵐の考えてることは分からないけど、今日の嵐の思考はいつも以上に私には理解できないものだった。
だって嵐は人混みが好きじゃない。わざわざ学校を休んでまでも遊園地なんて人が溢れる場所に行きたいなんて思う訳がないのに。
もしかして…私の為…?
嵐の顔を盗み見れば早くも疲れ気味の様子。誰かとぶつかりそうになった時、嵐がすかさず助けてくれた。チッと耳元で舌打ちが聞こえたのは絶対気のせいじゃないけど。
「さっきの奴、明日香に触りやがった」
「…触ったんじゃなくてぶつかっちゃったの」
「同じだろ」
全然違う…心の内で溜め息と一緒に零す。そのせいで苛々し始めた嵐の機嫌が少しでもなおるように私は上目遣いをして「ごめんね?」と白々しい言葉を吐く。嵐はこれに弱い。こんなありきたりな行動でも嵐には効くからそれでいいんだ。
