
虞犯少年
第15章 途絶えた安楽
怖くないと言えば嘘になる。
嵐以外の男の人に触れられるのも初めてで今、この状況に頭がついていかない。
だって相手は新さんで、嵐のお兄さんで。
まさか、こんなことが起こるなんて考えもしなかった。どうしよう。
「こんなについてたら俺がつけたって分かんなそうだね」
新さんの唇が首筋に触れた。
チクリとした痛みとその発言で私の首にまた新しい痕が出来たんだと鈍い頭が理解する。
柔らかさがある口調の筈なのに、有無を言わさない。
悪戯な笑みが零れた。私の上で目を細める新さんは耳元で嘆く。
「怖い?」
怖いと答えたら止めてくれるのだろうか。
前までの私なら怖くて怖くてたまらなかっただろう。だけど今の私は、嵐のおかげだと言えばいいのかこういう状況にも少しは慣れている。もしそれが嵐のお兄さんだとしても、することは同じ。
そう割り切ればいい。怖くない。
「――っ」
「…泣いても止めてあげない」
色っぽくて艶やかな声が脳にまで響く。
涙は流れてないものの、目を閉じれば流れてしまいそう。
グッと我慢をしたら鼻の奥がツンとしみた。割り切ることなんてできなかった。
