
虞犯少年
第17章 蜘蛛の絲
足が震える気がした。周りからの冷めた視線の訳。
だからか、と納得する反面なんで自分がそんな噂を流されなくちゃいけないのか怒りにも似た思い。
だけどそれ以上に怖かった。
これから先がどうなっていくのか私はまだ知らないから。
翌日、嫌な予感は的中。その"噂"はすでに学校中に回っていた。
昨日よりも浴びる周りからの目に自然と顔を俯かせながら歩く。
通りかかりにコソコソと聞こえる声。それならまだマシで気が強い女の先輩は聞こえるような大声で言うからタチが悪い。
大声で言うからタチが悪い。
「ブスのくせに調子のってんじゃねーよ」
「まじありえなくね?九条くんが可哀想」
「死ねばいいのにねー」
こんなナイフのような言葉は当たり前。私の心を笑って切り裂いていく。
クラスでも、私物が無くなったり悪口を言われたり、幼稚な嫌がらせは日に日に酷くなっていくばかり。
「九条くんに言いなよ」
「……言える訳ない」
美帆は心配そうに私の背中を撫でる。精神的にきつくなってきた私でも、隣に美帆が居てくれることで一人じゃないんだと救われていた。
どうにもならない問題に美帆が口に出して言うセリフは嵐にこのことを言えってこと。
