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虞犯少年

第2章 愛故の冷酷



「どこが好きなの?」


「どこだろうね」



ほんとに、誰か教えて欲しい。彼のよさを。

確かに見た目は十分すぎるくらいいい。だけど怖い。私は不良なんか嫌い、だ。周りの迷惑なんか考えないで自由気ままに生きてる姿なんか見てて吐き気がする。



「九条は危ないよ。立花さんにはちょっと…あってないなぁ」



苦笑いを浮かべて、最もな意見を言う。そうでしょう。周りから見たら私と彼は不釣り合いだろう。彼にはもっと、美人で色気のある女の子が似合う。私なんか色気なんて欠片もないし、胸だってない。それに加えて高校2年生だというのに中学生に間違えられることも多々ある。つまりは、全体的に幼いんだ。


彼は黙ってたって女が寄ってくる。その容姿と強さに惹かれた女が甘い声を上げて。この学校で彼の彼女になりたいと願う女も少なくないのに、彼は私なんかを求める。……絶対に可笑しい。


飯田くんみたいな人が彼氏ならよかったのに。


ふとそんなことを思った。性格だっていい。こんな人が彼氏なら幸せなんだろうな…


なぜか周りがざわざわとざわつき始めた。どうしたんだろう。廊下から響く声は教室まで浸透してきて飯田くんも不思議そうに「なんだろうね?」と首を傾げてる。

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