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虞犯少年

第18章 キミが居ない世界に価値はない





「私ね、明日香のこと嫌いなんだ」



美帆の唇が淡々と動く。それを見つめていたら頭の中が真っ白になった。私は何を言われてるのかさっぱり理解ができない。


嘘でしょ?…そんなの。
だって、ねぇ、なんで?嘘だよね?



同様を隠せない。カタカタ震える。美帆の笑顔が怖くて、自分の足が自分のじゃないみたいで、立っているのがやっとだった。



「っ…嘘」


「あはは。そんなに怯えた顔しないでよ。明日香ってさー、見ててムカつくんだよね」


「美、帆…」


「だからうざいって。もうこれで友達ごっこはお終い」



伸ばした手は振り払われた。虚しく空中を仰ぎヒリヒリとした感覚が手の甲に広がる。美帆と一瞬にいた子たちは笑い、哀れむように私を見る。一人になった教室は静けさが包んで余計心が痛かった。力無くその場に座り込むと今まで我慢していたものがぷつりと切れたように涙が流れ出す。


美帆は私のことが嫌いだったんだ…
友達じゃなかったんだ…


何も言葉にならない。ふつふつと沸き起こる悲しみをどうすればいいのか分からない。


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