
虞犯少年
第20章 何処で間違ったのかな
突然、周りからの嫌がらせはパタリと終わった。
もう上靴がなくなることも教科書がボロボロになることもない。
冷めた目も向けられない。
悪口を言う声も聞こえない。
それは気持ち悪いくらいで今までこんな事なかったかのよう。
嫌がらせをされる前に戻ったような錯覚に陥るけど美穂とは相変わらず目も合わせないような状況が続いてる。
一人な私に近付く人もいない。
だけどそれでいい。
嵐はいつも私の教室に来てくれるから、たまには自分から会いに行こうとチャイムが鳴ったのと同時に教室を出た。
もしかしたら嵐は怒るかもしれない。勝手にフラフラすんなって、怒鳴るかも…だけど今すぐ会いたくて、一人はやっぱり孤独で、あんな教室に居るくらいなら嵐に怒鳴られたほうがよっぽどマシだ。その気持ちの方が何倍も強かった。
「―………」
どうやらそれは選択ミスのようだった。 来なければよかった。
目に入った光景に私は足を止まらせ見つめる。
確かにそこにはいつも通りの嵐が居た。
なのに違う。
私がそこに近付けない理由はこんな光景を見たくないって思いがあったから。
