
虞犯少年
第22章 見えないから残酷に響く
身動きが出来なくなるこんな感情も、私を見る冷め切った視線を向ける人物たちの感情も。知ってしまった。もう、引き返す事は出来ない。
あの後、冷静さを取り戻した私の肩を嵐は抱いて「帰んぞ」と鞄も持たずに学校を出た。
勿論、まだ授業は終わっていない。
でも今は嵐と離れたくない。その気持ちが強かった。誰に何を言われてもそれが邪魔にしか思えないほど嵐しか見えていない。
今から何をするかなんて私の頭でも安易に想像がつく。いつもと違う帰り道に"?"を浮かべながら着いた場所はホテル。私はこういう所に来たのは初めてで、どういうシステムなのかも分からない。
興味津々に周りをジロジロ見る私の腕を握って歩く嵐は、こういう所にも慣れてそうな雰囲気でなんだか無性に苛ついた。
部屋に入ったらすぐ押し倒されるのかと身構えてた私の腕を握ったまま向かったのはバスルームで。
「自分で脱ぐっ」
「いい」
私の意志を無視する嵐は手際よく制服を脱がしてく。いくら何でも明るいし、恥ずかしい。そんな気持ちを分かる訳ない嵐は「邪魔だ」と言って近くにあったタオルで急いで隠したのにも関わらずそれを奪われてしまった。
粘りに粘った結果、電気を消すことを渋々承諾してくれた嵐と一緒に溜まったお湯につかる。
