
虞犯少年
第23章 愛ある明日はもう来ない
近づいたと思ったらまた遠退いた。
私の心はいつもどこかに置いてきぼりだ。
教室で一人。みんなは次々と教室を移動して今この教室に残っているのは私一人だけ。
時計を見ればもうすぐ授業が始まる。
教科書とノートを取り出そうと自分の机の中を探してた、そんな時だった。
「あんたいい加減別れたら?」
突然、背後から憎悪を抱きトゲがある言葉を投げつけられた。
聞き覚えのある声。
美人で可愛くて憧れだった。
友達として誇りだった。
なのに…どうしてこうもすれ違ってしまったのだろう。
信じてた分、裏切られた今はその声を聞いただけで憎しみと悲しみが込み上げる。
「………美帆」
ゆっくりと振り返って息を呑む。
久しぶりにちゃんと見た。
自分の存在を殺して誰の顔も見ない日々が続いてた今、こうして誰かと顔を合わせることが怖い。
微かに震え出す指先がじんわりと冷たさを纏う。
「何、あんたのその顔。私が憎い?っはは。でもね…私はあんたがずっと憎かった!!ずっとずっと…」
唇を噛み締め溜まった思いを吐き出す美帆はどこか泣いてるようにも見えて、剥がれた仮面のそこにある美帆はとても儚い。
美帆はずっと私が嫌い。憎い。
思い出はどれも綺麗なままでそれが尚更辛くて。
美帆からしたら"友達ごっこ"でも、私は美帆を本当の友達だと思ってた。好きだった。
