
虞犯少年
第23章 愛ある明日はもう来ない
「別れてよ…」
「っ」
「お願いだから嵐と別れて!!」
今まで見たことがない。美帆がこんなに荒れ狂う姿を私は。
いつだって綺麗で自信に満ち溢れていたのに、ボロボロだ。
人を愛した成れの果てがこんな姿なんて…
私は息苦しさを感じながら、肩を掴まれる力にもう何をする気力も起きない。
「あんたなんかいなければ…」
……あぁ、私はいらない人間。
美帆にとって邪魔な人間。
消えてしまえばいい。
「テメー、それ以上余計な事喋ってみろよ。女だろうが殺すぞ」
まるでピンチの時に助けてくれるヒーローみたいに、私が追い詰められてる時こうやって現れてくれる。
だけど、でも、ヒーロー気取りならやめてもらいたい。
不機嫌だとかキレてるとかそんな次元じゃない。
ピリピリとしたこの空気に浸透していく。
震え出す美帆。
何もかもを投げ出したい私。
その人の顔を見る事は出来ない。
愛ある明日はもう来ない
(そんな予感がした。)
