パパ、もう一度抱きしめて
第3章 合コンと彼
ミワちゃんがそんな私に寄ってきて、耳元で囁いた。
「何してるのよ、あず。一緒に話そうよ。遠慮してちゃだめ、楽しまなくちゃ」
「でも私、何話していいかわからないし。そろそろ帰ろうかなって…」
「えっ!あずが帰るなら、私も帰るよ」
「うそだよミワちゃんっ、ごめんね」
「あずみたいな、控えめな子がいるからいいのよ。わかる?」
「え…?」
「よーし、じゃあ」
と、北川さんの提案で話す相手をチェンジしていく事になった。
私は小児科志望だという、結城(ユウキ)さんと座った。
人懐っこい笑顔が素敵な、好青年だ。
「梓ちゃん、合コン初めてなんだって?」
「はい」
「僕も何年ぶりかなー。研修医になったとたん、めちゃくちゃ忙しくなってね。今日みたいに時間がとれたの珍しいくらいなんだ」
「じゃあ、忙しい合間を縫って来て下さったんですね」
それなのに私は…。
途中で帰るなんて考えていた自分が恥ずかしかった。