
おにごっこ学園
第18章 野呂茉莉江パート last
「ううん、大丈夫だよ」
なんか一喜がかっこよく見えた。
別にイケメンってわけじゃないのに。
「なんか……莉江、しばらく見ない間に、大人になったよな」
「5年も会ってなかったんだよ。そりゃあ、大人になるよ。一喜は子供の頃のままだけど」
「お、俺だってっ、ちっとは成長してるよ…たぶん」
行こうぜって言われて遊園地に入った。
今日は平日だからお客さんはほとんど居なくて貸し切り状態。
今どきデートする人も珍しいんだけどね。
いっぱい遊んだ。
いっぱい話した。
5年間会わない内にあったこと。
お互いの中学の時のこと。
私が親と喧嘩して1人で暮らしてること。
一喜の双子の妹の一穂ちゃんがメイドのお仕事をすることで揉めたこと。
他にもいろいろ。
無意識の内に手繋いでた。
観覧車の中でキスされたのにはびっくりした。
ちょっと唇が触れたくらいだったけど。
幸せな感じがした。
その後なんかそっぽむかれて。
もっとして欲しかったのにな。
別にこれはあれだよ。
す、好きとかじゃないんだ。
一喜もそう言ってたし。
テレビやネットじゃエッチなことばっかり言ってるけど、
やっぱり男と女ってエッチだけじゃないんだ。
エッチしなくたって
楽しいんだ。
気持ちいいんだ。
そう思わせてくれた。
この時の気持ちを、あの子に届けてあげたかった。
今ごろ必死で逃げている彼女を、助けてあげたかった……
