テキストサイズ

迷霧

第1章 1

 二ヶ月前にバイクの免許を取ったオレは夏休み、大学の二つ上の先輩と地元の峠に走りにきていた。


「あっち~!」


 オレは脱いだヘルメットをミラーにかけると、蒸れた頭をワシャワシャと片手でかき混ぜた。ひんやりした空気が地肌に当たって気持ちいい。


「陽太(ひなた)、コーナーに入った時は道の真ん中を走るんじゃなくて、アウト・イン・アウト。アウト側から入って、アウトに抜けて加速する。あ、でもセンターラインは越えるなよ」


 手振りを加えながら走り方のアドバイスをするのは、バイク歴5年の影山洋平(かげやま ようへい)先輩。


 影山先輩とは春、大学の駐輪場で出会った。
 黒のスポーツバイクに乗って颯爽と走る影山先輩の姿を見て、オレが一目惚れをして声をかけたんだ。
 あ、決して変な意味じゃなく。


ストーリーメニュー

TOPTOPへ