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迷霧

第5章 5

 ここの集落は全部で八軒。そのうちオレたちが調べたのは四軒で、玄関が開いていたのはマネキンがあった一軒だけだった。
 集合場所の赤い屋根の家に戻ると、すでに影山先輩たちがいた。


「どう? 二人は見つかったかい?」


 昭さんの問いに、影山先輩が首を左右に振る。


「そうですか、一体どこに行ったんだろうねぇ」


 そう言いながら、昭さんは軽自動車にもたれている空くんに近づいた。
 空くんはなにやら口をモグモグさせている。


「空くん、何を食べてるんだい」

「ガムだよ」

「ガム? ええな~、うちにもちょーだい!」


 朱里さんが空くんの前に右手を出す。


「え~やだよ。欲しかったらそこから貰ってきなよ、いっぱいお菓子あるから」


 そう言って空くんは、目の前の赤い屋根の家を指差した。みんな「え?」という顔をする。


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